自社配送とFBAの物流コストを比較|
費用対効果と判断ポイントを解説

  • 更新日: 2026/05/20
  • 読了目安: 6分
  • リュ ヒョンジュ
  • 月額4,900円(税抜) + 販売手数料

    はじめに

    EC事業を運営するなかで、物流コストを「1件あたりの送料」だけで比較しているケースは少なくありません。しかし、物流コストには梱包資材・人件費・保管費・返品対応などのその他コストまで含まれます。物流全体のコストで捉え直すと、判断が変わることがあります。

    本記事では、フルフィルメント by Amazon(FBA)と自社配送の費用対効果を、その他のコストも含めた判断軸で整理します。あわせて、FBAを活用されているアロー貿易株式会社の事例もご紹介します。

    目次

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    お忙しい方へ:本記事の結論

    1. 物流コストは「送料」ではなく、梱包・人件費・保管・システム・返品対応を含めた全体で捉える
    2. 販売規模・商品特性・ブランド戦略により、自社配送・FBA・併用のいずれにも適したケースがある
    3. FBAは保管・出荷・カスタマーサービス・返品対応までをAmazonに委託できるサービス
    4. 判断軸・比較表・事例・FAQを通じて、自社に合った配送方式の検討材料を提示

    1.自社配送とFBAの表面的なコスト比較

    物流コストを「1件あたりの配送料」だけで比較してしまうと、判断を誤ることがあります。なお、自社配送で発生する「送料」は配送業者様への支払いが中心ですが、FBAの「配送代行手数料」は梱包・配送・カスタマーサービス対応が含まれた費用であり、両者は性質の異なる費用項目です。

    比較する際は、それぞれの費用に含まれる役務範囲を踏まえる必要があり、自社配送側にも以下の費用を参考にしてください。

    コスト項目

    主な内容

    費用発生の特徴

    配送料金
    配送業者様にお支払いする送料
    出荷件数に比例して発生
    梱包資材費
    段ボール・緩衝材・テープ・送り状用紙など
    出荷件数・商品サイズに応じて変動
    出荷作業人件費
    ピッキング・検品・梱包・伝票作成・引き渡し
    出荷件数と繁忙期対応で変動
    保管スペース費用
    保管場所の家賃・光熱費・棚・ラック等
    多くは固定費として発生
    システム・ツール費用
    在庫管理システム・送り状発行・バーコードリーダー等
    導入費+月額費として発生
    返品・カスタマー対応
    返品受入・検品・再出荷・問い合わせ対応
    返品率・問い合わせ件数に連動
    まとめると1件あたりの物流コストは、下記のような式で整理できます。

    1件あたり物流コスト = 配送料金 + 梱包資材費 + 出荷作業人件費 +(保管費 ÷ 出荷件数)+(システム費 ÷ 出荷件数)+ 返品率 × 返品1件あたり対応コスト

    物流コスト関連戦略は「EC物流コストの削減戦略と手数料の考え方」の記事をご確認ください。

    2. 自社配送のコスト全体像を可視化する

    自社配送で見落とされがちな費用項目を整理します。金額や比重は商品特性や出荷規模で変わります。

    2-1. 梱包資材コスト

    段ボール・緩衝材・テープ・送り状など、1件ごとに消耗する資材費です。サイズ別に複数の段ボールを常備する必要があり、小ロット購入は単価が上がりやすい傾向があります。

    2-2. 出荷作業にかかる人件費

    ピッキング・検品・梱包・送り状作成・引き渡しまでの作業時間は、出荷件数に比例します。繁忙期にはスタッフ増員や稼働時間の見直しが必要になることもあります。

    2-3. 保管スペース費用

    自社倉庫や事務所の一角を使っている場合も、家賃・光熱費が発生します。自社保管は固定費として発生することが多く、品揃え拡充に伴い拡張の検討が必要になる場合があります。

    2-4. システム・ツール費用

    在庫管理システム・送り状発行ソフト・バーコードリーダーなどの導入費・月額費です。受注・出荷・在庫同期を自社完結にする場合、ツール整備が必要になります。

    2-5. 返品・カスタマー対応の工数

    返品の検品・再梱包・再出荷や、配送に関するお客様対応の工数です。返品率は商材で大きく異なるため、自社実績をベースに把握するのが出発点になります。
    ここまで自社配送のコスト全体像を見てきました。では、実際にこれらの課題をFBAで解決し、大きく成長した企業の事例を見てみましょう。

    3.導入事例:アロー貿易株式会社のFBA活用

    アロー貿易株式会社は、自社ブランド「East field」を展開し、トヨタ ハイエース200系に特化したカスタムパーツを企画・販売しています。リアゲート開閉アシストグリップやリアステップカバー、マフラーカッターなど、ハイエースの使い勝手と見た目を向上させるアイテムを幅広くラインナップ。各商品にはカラーや対応型式ごとに豊富なバリエーションが用意されており、ユーザーの好みに合わせて選べる点が特徴です。

    配送はFBAをメインで活用され、多品番SKUの在庫管理と出荷対応をAmazonに委託することで、効率的な運営体制を実現されています。

    Q :FBA導入前の体制は?

    A :関矢社長によると、FBA導入前は全商品を自社で発送していたそうです。注文が入るたびにスタッフが梱包・発送を行っていましたが、商品数が増えるにつれて在庫の置き場所の確保が難しくなり、日々の発送手配にも多くの時間を取られていたとのこと。カスタムパーツはカラーバリエーションや対応型式ごとにSKUが多く、限られたスペースでの在庫管理が年々負担になっていたといいます。

    Q :FBA導入のきっかけ

    A :FBA導入の最大のきっかけについて、関矢社長は「在庫の置き場所」と「発送手配の大変さ」の2点を挙げられました。Amazonの物流拠点に在庫を預けることで、保管スペースの問題と発送業務の負担を同時に解決できる点がFBA導入の決め手になったそうです。

    Q :FBA導入後に感じた効果を教えてください。

    A :まず出荷作業の負担が大幅に減りました。配送スピードも上がってお客様の反応が良くなりましたし、売上も伸びました。返品やカスタマー対応の手間も減っています。それと、一番大きかったのは誤発送がなくなったことですね。カスタムパーツはカラーや型式違いで似た商品が多いので、自社出荷のときはどうしてもピッキングミスが起きていました。FBAに切り替えてからはそれが完全になくなりました。

    Q : FBA導入で苦労した点はありましたか?

    A : 特にありませんでした。思っていたよりスムーズに導入できたと感じています。

    Q : 今後の展望は?

    A : 現在はハイエース200系向けのパーツが中心ですが、今後はお客様の声を参考にしながら、車種を問わず使える汎用パーツなど商品の幅を広げていきたいと考えています。FBAのおかげで物流面の心配なく新商品の企画や品質向上に集中できるので、その環境を活かしてブランドをさらに成長させていきたいですね。

    アロー貿易株式会社の事例からも分かるように、FBAの活用は物流コストの削減だけでなく、出荷品質の向上・売上拡大・業務効率化にも直結します。次に、費用対効果を正しく評価するための指標を整理します。

    同社の取り組みからも、FBAの活用は物流オペレーションの整理だけでなく、出荷品質の安定化や商品開発へのリソース集中にも寄与することがわかります。

    *上記は一例であり、同等の効果を保証するものではございません。

    4. FBAと自社配送の費用対効果を比較する重要な指標

    費用対効果の評価には、コストに加えて「そのコストが事業運営に与える影響」も含めて捉える必要があります。以下の5つの観点で整理するのが有効です。
    1. 物流コスト全体の見通しやすさ(固定費/変動費のバランス)
    2. 販売規模・商品特性・ブランド戦略により、自社配送・FBA・併用のいずれにも適したケースがある
    3. FBAは保管・出荷・カスタマーサービス・返品対応までをAmazonに委託できるサービス
    4. 判断軸・比較表・事例・FAQを通じて、自社に合った配送方式の検討材料を提示
    5. お取扱い商品特性(サイズ・重量・危険物区分・温度帯等)

    4-1. 自社配送とFBAの特徴比較

    一般的な観点で整理した比較表です。実際の料金・条件は、Amazonセラーセントラル ヘルプの公式ページで最新情報をご確認ください。

    比較すべき重要指標

    比較項目

    自社配送

    FBA

    コスト構造
    固定費(保管・人件費)と変動費の組み合わせ。運用体制の最適化で効率化を図る
    保管・配送・カスタマーサービスを含む従量課金の料金体系
    ※Amazon倉庫までの送料は別途発生
    出荷オペレーション
    自社で在庫管理・梱包・出荷・配送業者引き渡しを実施
    梱包・出荷・配送をAmazonが代行
    保管スペース
    自社倉庫・外部倉庫をご利用
    Amazonの物流拠点(フルフィルメントセンター、以降 FC)で保管
    カスタマーサービス
    自社で配送・返品に関する対応を実施
    24時間365日のカスタマーサービスをAmazonが対応
    返品処理
    自社倉庫で受入・検品・再出荷を実施
    FCで受入・処理。処理内容はAmazonの規定による
    梱包のブランド体験
    自社梱包・同梱物のデザインを柔軟に設計可能
    Amazonの規定に沿った梱包。個別梱包デザインは基本不可
    適したケース
    ブランド体験を重視される商材・個別対応が多い商材等
    多SKUの在庫管理が負担な商材・配送品質の安定化を目指されるケース等
    ※ 上記は一般的な観点の整理であり、個別ケースに必ずしも当てはまるとは限りません。

    4-2. 配送方式を選ぶための判断フロー

    以下の問いに順番に答えていくと、自社に合った配送方式の方向性が見えてきます。
    Q1. 月間出荷件数が多く、在庫の置き場所や出荷作業の工数が課題になっていますか?
    → Yes: 外部委託の費用対効果を試算し、FBA等のフルフィルメントサービスを比較検討 → Q2へ
    → No: 少量出荷なら自社配送でもコスト管理しやすい傾向がある → Q3へ

    Q2. 配送スピードの向上や出荷オペレーションの安定化が、売上拡大に資すると考えられますか?
    → Yes: FBAの利用を検討 → Q4へ
    → No: 自社配送でも対応可能。ただし物流コスト全体での比較→ Q3へ

    Q3. 梱包のブランド体験(オリジナル箱・同梱物)を重視しますか?
    → Yes: 自社配送、またはハイブリッド運用(主力はFBA、ギフト商品は自社配送)を検討
    → No: FBAで物流を自動化し、商品開発に集中

    Q4. 商品サイズは、FBAの標準サイズ区分に収まりますか?
    → Yes: FBAの手数料が効率的な区分。FBAの利用を検討
    → No: 大型商品はFBA手数料が上がる場合があるため、物流コスト全体を比較してご判断ください
    FBAと自社配送はASIN単位で使い分ける併用運用も可能です。例えば定番・小型商品はFBA、ブランド体験重視のギフト商品は自社配送、といった使い分けが有効です。

    5.リスク要因の比較

    費用対効果の検討には、それぞれの運用で想定されるリスクもあわせて整理しておくことをおすすめします。

    観点

    自社配送

    FBA

    出荷体制・キャパシティ
    繁忙期(セール期間・年末年始等)の出荷増加時に、スタッフ体制・資材確保を事前に設計
    在庫補充のリードタイムを見込んだ納品計画、在庫切れ防止の安全在庫設計
    アカウント健全性
    出荷遅延率・有効追跡率等の各指標が基準内に収まるよう運用管理
    返品率・カスタマー対応はAmazon側で処理されるが、商品品質・梱包指定等の納品要件への対応が必要
    在庫保管
    自社倉庫のスペース・温度管理・セキュリティの設計
    長期在庫に該当した場合の追加手数料、取り扱い不可商材の規定(最新条件はセラーセントラル参照)
    商品特性
    危険物・温度帯商材は、自社運用にて取扱基準に沿った対応が必要
    危険物・温度帯商材はFBAの取り扱い要件・制限に該当する場合あり(最新条件はセラーセントラル参照)
    どちらのリスクが許容しやすいかは、事業規模・商材・運用体制により異なります。

    6.まとめ:物流を自動化し、ブランドの成長に集中しよう

    物流コストの比較は、送料だけでなく、梱包・人件費・保管・システム・返品対応を含めた全体構造で捉えることが出発点になります。
    そのうえで、オペレーション負荷・お客様体験・商品特性を踏まえ、自社配送・FBA・併用のいずれが事業成長に資するかをご検討ください。

    FBAを活用し、物流に費やす時間を商品開発やお客様体験の向上に振り向けることを図る販売事業者様もいらっしゃいます。料金・条件は変更される場合があるため、最新情報はAmazonセラーセントラル ヘルプでご確認ください。
    FBAの概要・料金・開始手順は「フルフィルメント by Amazon(FBA)」公式ページからご確認いただけます。
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    まずは一部商品から試してみるのもおすすめ

    FBAの導入コストが気になる場合は、新商品特典プログラムの活用もご検討ください。新規ASINのFBA手数料が一定期間割引になる場合があります。いきなり全商品を切り替えるのではなく、売れ筋商品や小型商品からFBAを導入し、実際の売上効果とコストを検証してみてはいかがでしょうか。

    よくある質問

    FBAと自社配送の費用対効果を比較するとき、何を見ればいいですか?
    「1件あたりの送料」だけでなく、梱包資材費・人件費・保管費・システム費・機会損失を含めた「物流コスト全体」で比較してください。さらに、FBA利用による配送スピード向上がCVRに与える影響も加味すると、より正確な判断ができます。
    自社配送の方がコストを抑えられるケースはありますか?
    月間出荷件数が少ない場合や、大型商品でFBA手数料が高くなる場合は、自社配送の方がコストを抑えられるケースがあります。ただし、その場合も配送スピードやお届け予定日が購入率に与える影響(機会損失)を考慮に入れることをおすすめします。
    FBAと自社配送を併用することはできますか?
    はい、商品ごとにFBAと自社配送を使い分ける「ハイブリッド運用」が可能です。売れ筋商品や小型商品はFBA、ブランド体験を重視するギフト商品は自社配送、といった使い分けが効果的です。
    FBAと自社配送を併用することはできますか?
    はい、商品ごとにFBAと自社配送を使い分ける「ハイブリッド運用」が可能です。売れ筋商品や小型商品はFBA、ブランド体験を重視するギフト商品は自社配送、といった使い分けが効果的です。
    FBAを始めるのにまとまった初期費用は必要ですか?
    FBAには初期費用や月額固定費はありません。商品が売れたときに配送代行手数料が発生し、保管している間は在庫保管手数料がかかる従量課金制です。詳しい料金体系はEC物流コストの削減戦略で解説しています。

    *この記事は、FBAと自社配送の費用対効果比較に関する情報を提供するものです。具体的な手数料や料金は変更される場合がありますので、最新情報はAmazonセラーセントラルでご確認ください。
    EC物流コストを削減できる配送業者や物流サービスの比較ポイントは何ですか?
    料金の安さだけでなく、料金体系の透明性、自社商品サイズでの料金区分の有利さ、配送スピードと対応エリア、繁忙期のキャパシティ・土日祝対応、代引き・ギフトラッピング等の付帯サービスの5軸で総合評価することが重要です。特に配送料が全国一律か距離別課金かは、発送先が全国に分散する販売事業者様にとって大きなコスト差を生みます。3社以上から見積もりを取り、月間出荷件数の複数シナリオで試算して比較しましょう。
    headshot image of Hyunju Ryu
    リュ ヒョンジュ
    セラーサービス事業本部でマーチャントコンサルタントとして、販売事業者様のAmazon上での成長をサポートしています。
    主に物流ソリューションやマーケティング支援の提案を通じて、事業者様の経営戦略に沿った形で売上最大化をお手伝いしています。
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